眠れる森の美女

パリ・オペラ座での上演日:2013年12月16日

上映時間:2時間45分

振付:ルドルフ・ヌレエフ

音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

キャスト:マチアス・エイマン/ミリアム・ウルド=ブラーム他

あらすじ:

国王フロレスタン24世とお妃は、 生まれたばかりのオーロラ姫の洗礼式に妖精たちを招くが、邪悪な妖精カラボスは洗礼式に招かれなかったことに激怒する。洗礼式に招かざる客として割り込んだカラボスは、オーロラは糸紡ぎで指を刺して死ぬという呪いをかけた。リラの精は、カラボスの呪いを和らげる贈り物を贈る。それは、オーロラは死なないが深い眠りに落ち、王子のキスによって目覚めるというもの。

オーロラの16歳の誕生日に、4人の王子たちが求婚しにやってくる。禁止されている糸紡ぎを使っていた女性たちが捕まるが、お妃のとりなしで無罪放免となる。好奇心旺盛なオーロラは老婆に変装したカラボスに渡された糸紡ぎで指を刺してしまう。オーロラは100年の深い眠りに落ち、城全体も共に眠る。100年後、狩りに出かけたデジレ王子は、オーロラ姫の幻影を見て魅了される。王子はリラの精に導かれて深い森に隠れた城を見つけ、キスでオーロラを目覚めさせる。邪魔をしようとしたカラボスは打ち負かされる。おとぎ話の登場人物たちが駆けつけて、ふたりの華麗な結婚式が開かれる

オーロラ姫:ミリアム・ウルド=ブラーム

デジレ王子:マチアス・エイマン

フロリナ姫:ヴァランティーヌ・コラサント

青い鳥:フランソワ・アリュ

リラの精:マリ=ソレーヌ・ブレ

カラボス:ステファニー・ロンベール

妖精たちのヴァリエーション:エロイーズ・ブルドン、オーバーヌ・フィルベール、レオノール・ボーラック、ローラ・エケ、シャルリーヌ・ジザンダネ、サブリナ・マレム、エヴ・グランツスタイン

4人の王子:オドリック・ベザール、ヴァンサン・シャイエ、フロリアン・マニュネ、ジュリアン・メザンディ

公爵:クリストフ・デュケンヌ

宝石のヴァリエーション:エロイーズ・ブルドン、ヤニック・ビットンクール、エロイーズ・ブルドン、アメリー・ラモルー、サブリナ・マレム

白い猫:オーバーヌ・フィルベール

長靴を履いた猫:ダニエル・ストークス

見どころ:

 

 『白鳥の湖』『くるみ割り人形』と並ぶチャイコフスキーの三大バレエの一つであり、壮麗でスケールの大きなグランド・バレエとして他の追随を許さない古典バレエの傑作。

 1890年にサンクトペテルブルグのマリインスキー劇場で初演。作曲家チャイコフスキーと振付家マリウス・プティパが緊密に連携し創り上げた。ルドルフ・ヌレエフはロシア・バレエの栄光を象徴するこの究極の大作に取り組み、1966年にミラノ・スカラ座バレエのために自身の版を創作。その後も世界各地のバレエ団で少しずつ変更を加えながら上演したが、パリ・オペラ座バレエで1989年に5回目の再構築を行った。

 ヌレエフ自身の高度な技術を最大限に見せるために、王子の踊りが通常踊られている版よりも多い。特に2幕では、まだ見ぬオーロラとの愛を求める想いと王子の憂いが合わさった、美しいヴァイオリンのカデンツァに合わせた長くロマンティックで高難度のソロが印象的で、本作では現在のパリ・オペラ座で最高のテクニックを誇るマチアス・エイマンが輝かしくもエレガントに踊っている。善と悪という世界の二元性を象徴するリラの精とカラボスは、踊らない役で両方とも女性ダンサーが踊る。

 オーロラ姫の16歳の誕生日に求婚者たちに出会う“ローズ・アダージオ”はバレリーナにとっては挑戦となる名場面。お姫様そのものの愛らしい容姿、アラベスクの美しいクラシック・バレリーナ、ミリアム・ウルド=ブラームは、初々しくも緊張感あふれる難しいバランスを決めて、16歳の無垢な少女の生き生きとした闊達さも見せてくれる。

 プロローグの妖精たちのヴァリエーション、2幕の幻影のシーンの幻想的なコール・ド・バレエは、これぞ世界最高峰のパリ・オペラ座バレエならではの美しさ。

 100年を経てオーロラが目覚めたのちの3幕の結婚式では、おとぎ話の登場人物たちがお祝いに駆けつけて楽しいディヴェルティスマンを披露。やはり超絶技巧を誇るヴァランティーヌ・コラサントとフランソワ・アリュの空を飛んでいきそうな青い鳥のパ・ド・ドゥには興奮させられ、フランス王室を象徴する、華麗そのもののオーロラと王子のグラン・パ・ド・ドゥで多幸感は頂点に達する。

 16歳の無邪気なお姫様から、2幕の幻影として現れる憂愁に満ちて高貴な姿、そしてデジレ王子に出会って結ばれた幸福感に包まれ、威厳を湛えた歓びあふれる王女と、様々な顔を見せるオーロラ姫に、フランス・バレエの粋を体現するミリアム・ウルド=ブラームは最もふさわしく感じられる。マチアス・エイマンも、どこか人生に満ち足りないものを感じて迷っている青年から、オーロラに恋してカラボスに打ち勝ち、オーロラの愛を掴む堂々とした姿への成長物語を、磨き抜かれたクラシック・テクニックを用いてドラマティックに演じ、ヌレエフの再来を思わせる。

 単なる子ども向けのおとぎ話ではない、深遠なドラマ性を感じさせるのが、パリ・オペラ座バレエの『眠れる森の美女』。未だ日本でのテレビ放映もディスク化もされていない貴重な映像、目が眩むばかりのゴージャスなバレエの極美の世界にぜひ陶酔してほしい。

公開劇場 / 公開日

料金:一般3,300円 学生2500円(入場時学生証提示)

※ご鑑賞券は劇場窓口にてお求めください。 

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